振り返ればもう50年以上?も前に制作されたコート
今から5年前、100才のお誕生日会を嵐山の吉兆でされた後亡くなられた先生。
戦後日本人が洋装をするにあたり学問として体系づけて指導されてきました。京都女子大の教授であられて私の母校の短大に家政科を新設する為に、教授の資格を持った先生の名前がなければ文部省の許可がおりないと言う事で、非常勤講師としてお願いして来ていただいたと聞きました。
先生の助手として母校の洋裁研究室に勤めて以来亡くなられるまでずっとお付き合いをさせていただいた事は今でも心の支えです。 加賀前田藩の末裔としたプライドを秘めて真摯に学問の道を追及された生涯でした。
先生の自作のコート 右側が裾です。
前の打ち合いはセミダブル、 テーラーカラーで袖はラグランスリーブ、バイヤスに取り、地の目が斜めに走りデザインになっています。 半裏仕立ての為胴から裾にかけて縫い代の始末は細いパイピング仕立(今ならオーバーロックで行けるが、今でも仕立の良いものはこの様にします。) ボタンホールは玉縁、くるみボタンは手作り。近頃滅多にみられません。 右見頃だけにポケットがついています。 オートクチュールでもなくプレタポルテでもない自作の高級仕立てで、ソーイング教室の生の見本です。
長くタンスにしまって置いたままでしたが、手を通して見たらとても気易く、流行に関係なく良いものは、やはり着ていて気持ちがいいです。先生の思い出とともに大切に着せて頂きたいとおもいます。
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